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名なしの港のサビ白のこと。

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長い冬が終わりを迎えるころになると、夏のねこが恋しくなる。

特に夏の日差しの中でのびのびとしている海辺のねこ。

どういうワケだか、街ネコよりも港ネコの方が圧倒的にのびのびとおおらかで人懐こい。

ここじゃ港の仕事の邪魔さえしなければ、追いまくられることも、お役人が檻をもってやってくることも無いからね。


港ねこたちは潮の加減を知っているのか?それともねことしての本能なのか?魚が釣れだすと何処からとも無くやってきては釣れた魚をねだる。

釣れている釣り師の後ろは港ねこが大勢集まる。

時にはバケツの中の魚を失敬する不届き者もいなくは無いが、そういう事をするのは大抵あの忌々しいカラスくらいなもんか。

ひとしきり釣り人のおこぼれをご相伴に預かると乾いた暖かいアスファルトの上で誰憚ること無くごろり。



釣り人のおこぼれをもらい損ねた海鳥達の視線なんてお構いなしに、いっぱいになったおなかをもてあましてごろごろとやっている。

時折こちらを見ているのは、また魚が釣れだしていないかを確認しているのかも知れない。



夏の乾いたアスファルト。

埠頭に並ぶコンテナから長く影が伸びる。

北国では夏でもこの時間の日陰はひんやりとしている。

海から吹き付ける風が顔に心地よい。

のんびりした時間が流れる。



見ている方が飽きるほどごろごろを繰り返した夕暮れ手前の時間、急にすくっと姿勢良く座りなおす。

あたりの状況を真剣な表情で見回す。

日没が近い。

釣り人の言葉で「夕まずめ」。

夕方は魚も食事の時間だから、釣り人にとっても忙しい時間だ。

おおかたあたりの釣り人が持つ釣竿の先を眺めているのだろう。



周りの海鳥に鋭い視線。

港ねこにとってカモメやウミネコやカラスは強力なライバル。

ライバルへの牽制球も欠かせない仕事だ。



港ねこは腕が良くて、気前の良い釣り人が大好きだ。

視線の先にいたのは、やはり長年潮風にさらされて顔に深い皺が刻まれた老釣り師。

老釣り師は色あせたタオルを薄くなった頭に巻き、竿先を見つめながら短くなった煙草を燻らせている。

時折隣に座った馴染みの釣り師に低い声でなにやら話しかけているが概ね黙って竿先を眺めている。

針にかかった魚を外してはバケツに放り込んでいく仕草は手馴れたものだ。

港ねこは釣り師の腕を良く知っているのだろう。

今日はあの釣り師から晩御飯を頂くつもりなのかもしれない。



遠くから割れたAMラジオの音。

今晩の天気予報がかすかに聞こえる。

どうやら今夜は星が見られそうだ。

さて、俺もねこ達にモテるようにもうひとがんばりするか。

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