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名なしのクロヒゲさんのこと

Posted by steampump on   2 comments   0 trackback



名なしのクロヒゲさんと会ったのは一回きり。

ビルの隙間の出っ張りの下にできた影に身を潜めるようにうずくまっていた。

身体は黒で、ヒゲが白。

たぶん尻尾の先も白だった。

クロヒゲさん寒風吹きすさぶ中、出っ張りの下にじっとしていたから普段なら気づかないところだけど、その場所には以前、やっぱり名なしのネコが潜んでいたことがあったので、その日も何気なしにそのあたりに視線を走らせていたら、潜んでいたクロヒゲさんと目が合ってしまった。

クロヒゲさんは通りに背を向けた形でじっとしているだけ。

こちらに薄黄色の目を向けてていて、その目はクルクルと夕暮れの街の光を反射していた。

初対面のネコに性急な行動はタブーなので、ゆっくりと、いかにも興味が無さそうなそぶりで近づいた。

クツが地面に擦れる音すら嫌うネコが多いので漫画のような抜き足差し足だ。

ゆっくりと息を止めてしゃがみこむ。

クロヒゲさんはこっちを油断なく看視し、こっちもクロヒゲさんから目を離さない。

何せクロヒゲさんは黒いから、走り出して暗い場所に行かれてしまったらゲームセットだ。

ところがクロヒゲさんは全くその場から動かない。

動かない相手にシャッターを切り続ける。

しかたがないのでカメラのアングルを上にしたり下にしたり、ズームしたりしながらカシャカシャと撮り続ける。

撮り続けるが、クロヒゲさんはやっぱり動かない。

足が痺れてくる。

息も苦しくなってくる。

でも、クロヒゲさんは動かない。

相変わらず目だけが夕暮れの光に反射してクルクル動いているだけだ。

もう限界。

意を決して立ち上がる。

はぁっと息を吐き夕空を一瞬見上げた。

視線を戻すとクロヒゲさんは元の場所から居なくなっていた。

それだけの出会い。

Comment

akko says... ""
どんな出会いでも意味があるんですよね。
もうその出会いが2度とないとしても
自分の人生の中のひとつの出会い。
大切にしたいですね。
2013.03.14 17:51 | URL | #- [edit]
steampump says... "Re: タイトルなし"
ねことは言葉が通じないのですが、つい出会いの意味を考えてしまいます。
今までも色んなねこと出会いましたけど、どの出会いも鮮烈でよく覚えています。
新しい出会いはいつも楽しいですね。
2013.03.14 20:07 | URL | #- [edit]

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